5秒の余韻
ゆっぺ旅最終回の最後で、僕は終わりに5秒の余韻を入れています。
これは、ドアが閉まり、~完~という文字が出たあとのあの5秒で、旅が終わった喪失感を感じて欲しかったからです。
これは、デジモンアドベンチャー02の喪失感をずっと心に負っているからです。
俺は、デジモンアドベンチャー02「ディアボロモンの逆襲」を見に行った。
小学生の春休み、僕はデジモンアドベンチャー02「ディアボロモンの逆襲」を映画館に見に来ました。
あの当時のデジモン人気は最盛期で、もれなく男子小学生は見に行ってましたし、「オメガモンが出るぞ!」と学校で噂していました。
そして、映画のラストシーン、大輔たちはディアボロモンを倒します。
でも、東映アニメフェアの30分劇場版ということもあって、TV版のような余韻はないんですよ。
夜が明けて、ラストシーンは朝なんですよ。そしてレインボーブリッジの引きの絵で、みんなは言葉を発することもなく、消えていくクラモンを見ながら頷いたりしています。
この朝がね、すごく綺麗なんですよ。
見たこともない東京の朝だけど、すごく綺麗だったと子供ながらに記憶しています。
そして始まるED曲「フレンド いつまでも忘れない」
素晴らしい歌声の前田愛さんが歌って、卒業ソングのこの曲に合わせながら選ばれし子どもたちの写真が出てきます。(この画像の出方が当時のADSL回線で見ていたようなローディングで最高)
この曲を聞きながら「あ、終わったんだな」と。
デジモンという物語が終わったんだなと子供ながらに思っていました。
現に次作のテイマーズからは話の繋がりはありません。
そして、最後にクラモンが出てきて、冷蔵庫の扉を閉めるんです。
この閉める瞬間、EDの「フレンド いつまでも忘れない」のラストの音Dadd9の白玉に合わせながら閉めるんですよ!!!
終わりの余韻
そして流れる曲のラストと合わせながら「おわり」の文字。
そして僕はDadd9の余韻を聞きながら、真っ黒な画面を5秒間見つめていました。
映画館が、フィルムを流し終えてから明かりがつくまでのあの5秒間。
周りにいた小学生や大人たちが、映画が終わってざわざわと喋り始めるまでのあの5秒間。
あの5秒間が、人生で一番大事な5秒間であるし、絶対に創作に必要な5秒間なんですよ。
走馬灯のように今まで毎週見てきた太一や大輔たちの思い出が駆け巡り、脳内を反芻します。
そして映画館を出て、親に連れられて映画館の近くのお子様ランチを食べながらも、ずっと脳内では「デジモンが終わっちゃったんだ。」という想いが駆け巡っていました。
もう、見れないんだ。もう太一も大輔もアグモンもブイモンとも会えないんだ。
涙は出ませんでした。でも多分、涙が出たほうがもっと楽だったと思います。
涙が出て気持ちが外に出てスッキリする事もできず、ただ、自分の人生の一部から大事なものがすっぽりと落ちていった喪失感。
あの気持ち。
大人になった今思い出しても、あの気持ちは言葉では形容出来ません。
失恋にも似た喪失感。ポケットの中の戦争を見終わったあとのあの感じ?ターンAガンダムの最終話で月の繭を聞いた後の気持ち?メダロット無印最終話のあの気持ち?
似たような気持ちが幾度もありましたが、あの日のデジモン02劇場版を見終わった後の、「おわり」の後の5秒間の喪失感にはいずれも超えることは出来ませんでした。
そして、日本一周動画
そして先月まで、僕は日本一周動画を作っていました。
終わり方だけは決めていました。
自分が日本一周中に見ていた風景や思ったことで曲を作る。
そして、最後はデジモンアドベンチャー02「ディアボロモンの逆襲」のように、
この終わり方だけは最初から決めていました。そして最後の5秒を目指すための全51話の旅でした。
ずっと見続けてくれた人だけが、あの日の僕のように何か喪失感の感じる5秒を感じていただければ、それは僕の辛かった編集も報われるというものです。
Youtuberの動画は、基本的には楽しいとかドッキリ!とかそういう類のものが多いですが、必ずしも良い動画というのはそういったものだけは無いと思います。
喪失や悲しい の中にも、人を動かすものは必ず存在して、僕はそれが「デジモンアドベンチャー02ディアボロモンの逆襲」だったんです。
これを人に言うと「そんな子供向けアニメで何を・・笑」みたいな事を言いますが、それに僕は人生を救われてるんです。
デジモンアドベンチャー02「ディアボロモンの逆襲」があったから、それが僕の中に行き続けて、長い動画を作り続けることが出来た。
それで誰かの心を動かせれば、そのバトンがまた引き継がれていくと想います。
というわけで、ゆっぺ旅最終話の最後の5秒というとてもニッチな話でした。
この記事を見てくれる人すらいないと思いますが、こういう気持ちがあったということで残しておきます。
最終話
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